ChatGPT Plusに新機能(Beta features / Web browsing)が来ていたので試す&使い方を紹介

新機能「Web browsing」を試す+使い方を紹介

皆さん、こんにちは

今日は、本家ChatGPTに新機能「Web browsing」が追加されたので、使ってみた感想と簡単な使い方について書いてみます。

Beta features について

まず、ChatGPTの「Beta features」について解説します。

「Beta features」とは、日本語で「ベータ機能」という意味です。

上記ページでは、「Beta features」の段階的なリリースサイクルについて説明されています。

OpenAIのChatGPTのベータ機能は以下のサイクルで提供されていくとのこと。

  • アルファフェーズ:アルファフェーズでは、少数のユーザーが新機能にアクセスし、テストとフィードバックを行います。異なるユーザーの経験から洞察を得ることで、実世界での使用に基づいて必要な調整を行います。
  • ベータフェーズ:ベータフェーズでは、ベータテストに参加したChatGPT Plusの加入者に対して、更新された機能が提供されます。広範なユーザーベースで機能のパフォーマンス、安定性、総合的なユーザーエクスペリエンスを評価します。
  • 一般公開ベータテストが完了すると、機能がより広いユーザーに提供可能かどうかを評価します。機能が品質基準を満たしていれば、すべてのChatGPTユーザーに提供されます。

上記の段階リリースサイクルにおいて、アルファフェーズが終了し、昨日からベータフェーズに移行した機能のうち2つが発表されました。

提供開始されたベータ機能

上に記載された、リリースノートによると、ベータフェーズに移行した機能は以下の2つです。

Web browsing and Plugins are now rolling out in beta (May 12)

If you are a ChatGPT Plus user, enjoy early access to experimental new features, which may change during development. We’ll be making these features accessible via a new beta panel in your settings, which is rolling out to all Plus users over the course of the next week.

Web browsing: Try a new version of ChatGPT that knows when and how to browse the internet to answer questions about recent topics and events.

Plugins: Try a new version of ChatGPT that knows when and how to use third-party plugins that you enable.

日本語訳すると

ウェブブラウジングプラグインが現在ベータ版としてロールアウトされています(5月12日)
ChatGPT Plusのユーザーであれば、開発中に変更される可能性のある実験的な新機能への早期アクセスをお楽しみいただけます。これらの機能は、次の一週間で全てのPlusユーザーにロールアウトされる新しいベータパネルを通じて利用可能になります。

ウェブブラウジング: 最近の話題やイベントについての質問に答えるために、いつどのようにインターネットを閲覧するべきかを知っている新バージョンのChatGPTを試してみてください。

プラグイン: あなたが有効にしたサードパーティプラグインをいつどのように使用するべきかを知っている、ChatGPTの新バージョンを試してみてください。

という感じでしょうか。

プラグインは過去にも発表されていましたが、ウェブブラウジングは知りませんでした。 てっきり、ChatGPTは今後も常に閉鎖された過去の学習モデルのみを参照する物だと思っていたので驚きました。Bing AIやBardへの対抗といったところでしょうか?

ある意味、学習済みモデルだけを用いることはメリットでもありデメリットでもあると思うので、この機能による回答内容の変化が気になります。

If you are a ChatGPT Plus user, enjoy early access to experimental new features, which may change during development. We’ll be making these features accessible via a new beta panel in your settings, which is rolling out to all Plus users over the course of the next week.

あなたがChatGPT Plusのユーザーであれば、開発中に変更される可能性のある実験的な新機能を先行して利用することができます。これらの機能は設定内の新しいベータパネルを通じてアクセス可能になり、来週中に全てのPlusユーザーに順次展開される予定です。

ということなので、ChatGPT Plusユーザーは来週中(05/14週)に、誰でも使えるようになるよう展開されると思われます。楽しみです。

5月13日時点で使えるか確認してみた

自分はChatGPT Plusなので、5月13日時点で利用できないか確認してみたところ 既に「Web browsing」が表示されていました。

Beta featuresという設定項目が増え、Web browsingが追加されている

どちらかと言えば、日本の企業も開発していることを公表し始めている「Plugins」の方が気になっていましたが、それは来週中にリリースされるのでしょうか。

ということで、「Web browsing」は試せるようなので、早速使ってみました。

Web browsing を使ってみる

使い方は簡単です。

  1. ChatGPTから左下の「・・・」を選択します。
  2. Settings」を選択します。
  3. Beta features」を選択します。
  4. Web browsing」のトグルスイッチをONにします。

ここで注意すべきは、この設定だけでは「Web browsing」が有効にならないということです。 この設定をした上で、チャット画面のモデル選択から「GPT-4」→「Browsing」を選択する必要があります。

GPT-3.5、GPT-4とは別扱いなので注意
この辺りのインターフェースも見やすく改善されていますね。

GPT-3.5ではこの選択肢が表示されないため、「Browsing」はGPT-4専用の機能であることがわかります。

このモデルを選ぶことにより、ようやく最新の情報をカバーすることができるようになります。

ということで、準備ができたので、早速質問してみます。

Google Bardは日本語に対応していますか?」

「はい、Google Bardは日本語に対応しています。」

わお、確かに最新の情報を提供してくれました。 Google Bardが日本語に対応したのはつい先日のことです。

ソースとして下記のページを提示してくれました。 このページでは確かにGoogle Bardが日本語や韓国語に対応した、という情報が掲載されています。

このサイトは「gearrice.com」というサイトで、よくあるガジェット全般系のメディアのようです。

完全に信頼できるソースとは言いにくいですが、危険なサイトではなく、「Yahoo! 知恵袋」などをソースとして回答するPrometheusよりはずっとましだと言えます。

ただ、回答は「はい、Google Bardは日本語に対応しています。」だけと、いつものGPT-4と比べて、かなり簡素です。

Searched: “Does Google Bard support Japanese language”
Reading content
Finished browsing

検索中は、このようなログが表示され、現在どの処理をしているか、どういう検索をしているかを表示してくれます。

同じことをGPT-4に聞いてみると、当然回答は得られませんでした。

いつものやつ

ChatGPTの苦手な部分をカバーしてくれる機能というのは間違いないですが、回答が簡素になっている点が気になります。もう少し質問をしてみましょう。

「東京都の今日の天気は?」

次は東京都の今日(2023/05/13)の天気を聞いてみます。

Yahooの天気サイトをソースとしてバッチリ回答してくれた

東京都の今日(2023年5月13日)の天気は曇り時々雨で、最高気温は19℃、最低気温は16℃です。午後12時から18時の間に降水確率は50%、18時から24時の間は20%です。風は南の風で、東京23区西部ではやや強く吹きます。波の高さは1メートルから0.5メートルに減少します1

リンク先は「東京(東京)の天気 - Yahoo!天気・災害」です。

Yahooの天気サイトで、これも信頼できるソースといえます。先ほどの回答ソースが英語サイトだったため、検索しているのは英語サイトが中心かと思いましたが、必要に応じて海外(日本)サイトも巡回するようです。

抜き出している箇所も適切で、実際にソースのページを見ても同じ内容が記載されています。 翌日の天気を誤って抜き出している可能性があるか心配しましたが、そういったこともなさそうです。

ただし、普段のGPT-4よりもやはり簡素な回答です。 ある意味、事実だけをすっきりと抜き出して必要な情報だけを提供してくれるとも言えます。

表示されているログは以下の通りになっています。

Searched: “東京都 2023年5月13日の天気”
Click failed
Clicked on:Favicon
Reading content Finished browsing

Bing AIと同様に、どのような検索ワードで検索したかが分かります。 また、「Click failed」など、一度どこかのサイトから情報を得ようとして失敗していることも分かります。何に時間がかかっているかが分かるのは、便利ですね。

ただし、この処理が入るため、普段のGPT-4よりも回答が遅くなる点があります。この点は難点と言えます。

この後にもう一度重ねて質問すると?

このようにWeb browsingを有効にすると最新の情報を得られることが分かりました。GPT-4には25セッションの制限があるため、あまり試せませんでしたが、試した限りでは精度も悪くないという印象を受けました。

さて、ここからが本番です。GPTは対話型AIです。ここまでの情報は、あくまでWebサイトから得た情報を掲載しているだけです。よって、私たちが検索エンジンで「東京都の今日の天気」と調べれば得られる情報と同じです。

つまり、対話型AIに求められるのは、この情報から更に質問をして適切に回答できることです。この能力こそが、GPT-4がBing AI (Prometheus) やGoogle Bard (PaLM 2) より実際の使用において使いづらい要因となっている点でもあります。

ということで、前述の質問に重ねて、「このような天気の時は何を着ればよいですか?」と尋ねてみました。

「このような天気の時は何を着ればいいですか?」

先述の情報を踏まえて、かなり役立つ回答をくれた

今日の天気(曇り時々雨、最高気温19℃、最低気温16℃)を考慮すると、以下のような服装が適していると思われます。

  1. アウター: 16℃から19℃の気温範囲では、薄手のアウター(例えば、カーディガンやスプリングコート)が役立つでしょう。特に朝晩は少し冷えるかもしれませんので、一枚羽織るものがあると良いでしょう。
  2. トップス: 長袖のTシャツや薄手のセーターが適しています。暑さを感じるかもしれませんので、レイヤリングすると、必要に応じて調整ができます。
  3. ボトムス: 気温範囲を考慮すると、ジーンズや長いスカートなど、脚を覆うものが適しています。
  4. アクセサリー: 時折雨が予想されるため、折り畳み傘を持つことをお勧めします。また、靴は防水性のあるものを選ぶと良いでしょう。

これらの提案はあくまで一般的なガイドラインで、個々の寒さや暑さに対する感じ方は人それぞれ異なりますので、自分自身が一日を快適に過ごせるように調整してください。

1つ目の質問とWebからの情報を加味した回答が帰ってきました。この回答は、Web検索を使っていないようで、GPT-4らしさが出たオリジナリティのある回答です。回答としてもかなり適切に思えます。

1つ目の質問以降の対話中も、そのセッション内で得たWeb検索からの情報は保持しているようですね。また、必ずしもWeb検索するわけではなく、不必要と判断した場合はWeb検索しないようです。この振る舞いはBing AIとは異なる印象を受けました(Bing AIはとにかくWeb検索します)。

「明日の天気は?」

必要に応じて再度Web検索する事もある

明日の東京の天気予報によると、天気は曇り時々雨で、最高気温は20℃、最低気温は15℃になる予定です。降水確率は朝から夜まで60%から70%の間で変動します。風向きは南です1

同じセッションで「明日の天気は?」と聞いたところ、再度Web検索が行われました。これにより、既に得られた情報では答えられない質問が出た場合にはWeb検索をするということが分かります。不要であればしない、必要であればする、この判断は既にBing AIよりも上手いような気がします。

結論

ということで、早速ChatGPT Plusユーザー向けにベータリリースされた「Web browsing」機能を試してみましたが、かなり使える印象です。これによってBing AIやGoogle Bardのような使い方もでき、かつGPT-4のジェネレーティブな利点も活かせる、とても優れたものになっています。

ただ・・・

頻発するToo many requests.

これがちょっとキツい

この検証中に、「We're currently processing too many requests. Please try again later.」(現在、多数のリクエストを処理中です。後でもう一度お試しください。)が頻発していました。

何のためのロールアウトリリースなのか、ちょっと疑問です。ChatGPT Plusはこういうことがかなり多く、負荷によってログインやアクセスが制限されることも多いです。

GPT-4も未だに3時間25リクエスト制限があり、普段使いにはまだまだ改善される必要があると思いました。

Bing AIやGoogle Bardとの使い分けは引き続き必要か

やはり、3時間あたり25リクエスト制限がある限り、Bing AIやGoogle Bardと併用することが避けられないというのが結論です。

今回のWeb browsing機能は非常に優れていますが、逆に言えば、Bing AIが既にGPT-4+Prometheusでそれを実現しているため、過敏なBing AIが回答を拒否するような、少しセンシティブな内容や話題は、OpenAI版ChatGPTで、というのが一番快適な気がします。

しかし、今後GPT-4にあるリクエスト数制限が少し緩和されると、いよいよChatGPT一本に絞れる気がします。インターフェースも洗練されてきましたし、Bing AIやGoogle Bardには広告が埋め込まれつつあるので、単純な性能と使い心地でいえばChatGPTがトップです。

今後、GPT-4のリクエスト数制限が少し緩和されれば、いよいよChatGPTに一本化できるかもしれません。本家ChatGPTはインターフェースも洗練されてきており、Bing AIやGoogle Bardには広告が埋め込まれるという情報もあります(Bing AIは既に広告だらけです)。その辺りを踏まえて考えると、Web browsing機能が追加された本家ChatGPTが性能と使い勝手の面でトップだと思いました。

安定性の向上とセッション数の増加は今後に期待したいところです。やっぱり、ChatGPT Plusユーザーであっても、3時間25セッションというのはちょっと厳しすぎると思うんだよなぁ・・・。

追記

ふと、このブログについて聞いてみました。

Webエンジンに蓄積された情報というより、スクレイピングしているような感じ

すると、このブログについてのかなり詳細な情報や、つい数分前に書いたこの記事についても紹介してくれた。

このブログはあくまで個人的な日記として運営しているため、SEO対策や検索エンジン最適化を行っていません。そのため、GoogleやBingの検索エンジンでの検索結果に表示されることはほとんどありません。(URLで検索してようやく表示される程度です。)

なので、Bing AIにこのブログのことを聞いてもほとんど情報をくれないか、間違った回答しかしないのですが、このGPT-4のWeb browsing機能を使うと、正確かつかなり詳細なことを教えてくれます。Webエンジンが持っている情報を提供するというよりも、内部的にスクレイピングを毎度毎度しているような感覚に近い気がします。

そりゃ、時間も負荷もかかるよなぁ。この検索はやっぱりMicrosoftの息がかかっているからBingで行われているんだろうか。それとも・・・。

2023/05/25 追記:やっぱりBingだったようだ。

いろんな面で興味深い機能です。今後も活用していきたいと思います。